「フリーランスのWebデザイナーになるには?」と聞かれた時に僕が答えていること

フリーランスのWebデザイナーをしていると(僕は正確にはWordPressテーマのデザイナーなので、フリーランス感はあまりないのですが)、

「私もフリーランスのWebデザイナーになるにはどうしたらいいですか?」

という質問を受けることがあります。質問の答えは相手によってだいぶ変わってくるのですが(例えば世の中にはホームページを作ったことがないのにそういう質問をしてくる人がいて、そういう人には「とにかくホームページを作ってみよう」と答えます)、この記事では自分でWebサイトを作れる人が、フリーランスとしてやっていくためのアドバイスを書いてみようと思います。

なお、ネットには「Webデザイナーになるには?」という記事が溢れていますが、それらの記事の多くは身につけるべき技術や年収などが書かれています。この記事ではそのような具体的なことは置いておいて、もっと大きな「考え方」を書いていこうと思います。(なぜなら僕はあなたに思想のあるWebデザイナーになってほしいから。)

学び編1. いいものを見よう

前半はフリーランスのWebデザイナーになるための学びについて書いてみようと思います。

「上を見たらキリがない」という言葉がありますが、僕はWebデザインの世界に関しては「下を見たらキリがない」世界だと思います。はっきり言って、世の中の99%のWebサイトは美しいとは言えないサイトです。だから普通にブラウジングをしているだけでは、なかなか美しいサイトに出会うことはできません。そして人によってはそれが「基準」となってしまいます。

だからもしあなたがいいWebデザイナーになりたいのであれば、意識的にいいサイトを見る機会が必要です。日本のサイトであればMUUUUU.ORGI/O 3000などが参考になるでしょう。海外のサイトであればAwwwardsなどが参考になるでしょう。また、WordPressのデザインを見たいのであれば、ThemeForestのWordPressテーマカテゴリを見るのもおすすめです。

はじめのうちは(特にアニメーションの多いサイトなどは)作り方がさっぱり分からないと思います。しかしそれでも可能性を知っておくのは大事なことです。可能性を知らなければ自分がWebサイトを作る時に思いつきもしなかったことを、知っていれば「あ、あのサイトはここをこう処理していたな」と思い出すことができます。そしてそれがあなたの「基準」となっていきます。

学び編2. 「デザイン」について学ぼう

残念ながら、Webデザイナーの中にはWebデザインのことしか知らない人たちがいます。そういう人たちは新しい技術は知っていたり、手を動かすのは速かったりするのですが、表面的なデザインで終わってしまいがちです。しかしそういう仕事は単価が安くなっていくばかりで、今後生き残っていくのは厳しいと思います。

デザインとはただ形を作ることではなく、問題発見であり、問題解決です。そしてそのプロセスをたどるためには「デザイナーの考え方」を持っている必要があります。だからたとえWebデザイナーだとしても、そもそもの「デザイン」について学ぶことを僕はおすすめします。

デザインについて一番学べるのは、デザインに関する本を読むことだと思います。といっても「文字の組み方」「色の選び方」といった本ではなく(これもこれで必要です)、もっと「デザイン」というもの自体について考えている本です。それは簡単なことではありませんが、幸いなことにデザイナーの書く文章は分かりやすいことが多いので(なぜならデザイナーは伝える仕事でもあるから)、いくつかのいい本と出会えるでしょう。僕は「デザインのデザイン」や「デザインの輪郭」に感銘を受けました。

実践編1. まずは与えよ

これまではWebデザイナーとしての学びについて書いてきましたが、ここからは実践編です。

もしあなたがWebデザイナー、特にフリーランスのWebデザイナーになりたいのであれば、まずやるべきは「人に与えること」だと思います。

それはどのような方法でも構いません。友人のWebサイトを作ってあげることかもしれませんし(これが一番堅実でしょう)、自分の学びをブログにあげていくことかもしれませんし(これはライバルが多いかもしれません)、WordPressテーマを作って配布することかもしれません(これは難しいですが面白いですよ)。

最初から仕事がやってくるWebデザイナーなどそうはいません。しかしもしあなたが友人のために作ったWebサイトがいいものであれば、別の友人があなたに仕事を依頼してくるかもしれません。また、作ってあげた友人が仕事を持ってきてくれることもあります(人は与えてくれた人に返したくなるものです)。

また、誰かのためにサイトを作ることはとても学びになります。自分のためにサイトを作るのとは違い「コミュニケーションが必要なんだな」「計画性が必要なんだな」「対応力が必要なんだな」といった学びがあるでしょう。これは実際にやってみないと学べないことです。

実践編2. お金を受け取ることを恐れない

前に書いたことと矛盾するようですが、フリーランスのWebデザイナーになりたいのであれば、お金を受け取ることを恐れないことも大事だと思います。

駆け出しの頃はお金を受け取ることを恐れて「1万円でいいよ」という風に請け負ってしまうこともあるかもしれません。しかしそれではWebデザインを仕事として行っているとは言えません。もし誰かがあなたに仕事を依頼をしてくれたなら、自分にとって気持ちよく仕事ができる価格を提示したほうがいいと思います。それで契約が成立しなかったのであれば、それはそれで仕方ないことです。

例えば僕はBusinessPressのカスタマイズサービスに時給5,000円をつけています。これはフリーランスのWebデザイナーとしてはかなり高い部類だと思います。しかし別に価格を吹っかけているわけでもありません。あくまで自分にとって「この価格だったら気持ちよく仕事ができる」という価格を提示しているだけです。価格は低すぎても高すぎても気持ちが落ち着かなくなります。その時々のちょうどいいところを見つけてみてください。

終わりに

僕が最初にWebデザイナーになったのは2005年頃で、Webデザイナーになるのが今よりもずっと簡単な時代だったと思います。なぜなら今よりも学ぶべきことが少なかったですし、それでいて誰もがWebサイトを作れる時代ではなかったからです。

今では作ろうと思えば誰でもWebサイトが作れる時代になっています。そんな中でプロとしてWebデザイナーになるためには確かな技術が必要になります。そしてそれを周りの人に知ってもらうことも必要です。(個人的には素人が時間をかけて作るよりも気楽にプロに頼むほうが効率がいいと思うのですが、なかなかそうはならないようです。)

だから「なんか簡単そうなイメージがあるから」でフリーランスのWebデザイナーを目指すのであれば、僕はおすすめしません。でももしあなたがこの世界を愛しているのなら、チャレンジをする価値はあると思います。僕はそれを応援しています。

Do what you love. Love what you do.
(自分が愛することをやり、自分がやっていることを愛しなさい。)

Share this
WordPressテーマデザイナー。WordPress黎明期の2005年頃よりWordPressに触れ、主に海外に向けてWordPressテーマを作り始める。WordPress公式ディレクトリ、およびThemeForestに複数のテーマを掲載している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です